お金と話す、お金と遊ぶ 07-最後に笑って見送るために

2018年07月05日 午後公開終了

文=大原扁理

こんなふうに、妄想で遊びながらお金を人格化していると、だんだん、本当にお金それ自体がひとつの人格を持ちはじめ、私のもとから離れていくような気がします。といっても、物理的に離れていくのではなくて、お金が私の支配を離れて自立していく、という感じです。

実際、お金って人みたいだなあと思います。どちらも欲をいえばキリがないけど、きちんと礼節を持って対応していれば、支配なんかしなくても、いつでも必要なときに必要なぶんだけいてくれるし、そっちのほうがラク。これが私の低所得生活のなかで実感したことでした。

いま私にとって大切なことは、一円も出て行かないようにお金を必死にコントロールしたり、他人より多く稼ぐことではなく、お金が遊びに来たいと思えるような人でいるように、いつでも緊張感を失わずに生きることです。

具体的にいうと、

・自分がどうありたいかを人任せにせず、人生の舵を自分でにぎり、毎日を地道にしっかりと生きること。

・とくに何もない一日でも、無事に生きられたことに感謝すること。

・低所得だからといって卑屈になったり、高所得だからといってお金や人を軽んじたりしないこと。

・他人を羨まず、いま目の前にいてくれる人やモノやお金を大切にすること。

・同じお金を使うなら、いかにひとりでも多くの人がハッピーに、楽しくなるように使えるかをつねに真剣に考えること。

・お金の量や用途の正しさに惑わされず、ネガティブな気持ちに突き動かされていないかをじっくりと検分すること。

・本当に大事なものは何なのか考えることから目を逸らさせて、ありとあらゆる方法で心を急かしてくるものを、きちんと拒むこと。

こんなふうに、長い目で見て、お金から信頼されるに足る言動を、ひとつずつ、年単位で積み上げていくことです。

とはいえ、どんなに大切にしていても、お金にはお金の都合があって、去るときには去っていきます。

旅立つお金を笑顔で見送ることができるように。そしてまたご縁があって戻ってきてくれた時には、温かく迎えられるように。これからも、まずは何より自分の人生を、楽しく生きていく所存です。

大原扁理(おおはら・へんり)

1985年愛知県生まれ。25歳から東京で週休5日の隠居生活を始め、年収100万円以下で6年間暮らす。現在は台湾に移住し、海外でも隠居生活ができるのか実験中。著書に 『20代で隠居 週休5日の快適生活』『年収90万円で東京ハッピーライフ』

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    お金と別れたあとも、いい関係を築いていくために。最後まで読んでいただきありがとうございました!本日発売の書籍版もよろしくお願いします。
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